定年顧問

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無職と書くのは、ためらう

ホテルや旅館に宿泊する際は、宿帳(宿泊者名簿や宿泊台帳とも呼ばれています)に、氏名、住所、電話番号、職業などを記載します。退職直後に旅行に行った際に、宿帳に氏名、住所、電話番号までは、すらすらと書いたのですが、職業欄にくると、ピタリと手が止まってしまいました。

定年退職後で仕事をしていなかったので、何と書けばよいのか考えてしまったのです。働いていた時は、会社員や会社役員などと書いていました。しかし、退職後は何もしていませんので、書くとなると無職となります。 しかし、この無職という言葉を書くのは、その時は、どうにも気が進みませんでした。できれば、空欄にしておきたかったのですが、何も書かない訳にはいきませんので、とりあえずは無職としました。しかし、この先旅を続けるとなると、もう少し年齢にふさわしく、抵抗を感じない言葉を、職業欄に書けないものかと思いました。

後日、別の言葉で無職の状態を表すいい言葉はないものかと探していたところ、自適という言葉がありました。自適とは、悠々自適の意味で、のんびりと心静かに、心の思うままに過ごすことを表しています。退職後に、優雅に暮らしているというイメージもあり、こういった表現をされている方もおられます。

しかし、余裕のある人ならともかく、 そういう境地に達している人は、それほど多くありません。現役時代に大きな成果を上げられた人とか、仕事はやりきったと思える人以外は、なかなか使いにくい言葉といえます。

それでは、無職、自適以外にどういった言葉があるのでしょうか?

現実は、ふさわしい表現は、見つかりませんでした。

やはり、無職と称したくなければ無職である状態を解消する、仕事をするしかありません。

仕事としては、年令的に会社員というより、別の働き方、例えば、個人事業主、自営業、自由業、フリーランスなどという名称の仕事が、現実的な選択肢となります。

これらの呼称を使うには、働くことが前提となりますが、何もフルタイムで働く必要はないのです。わずかな金額、期間であっても、収入を得てさえいれば、これらの職業についていると自称することができます。

また、個人事業主、自営業、自由業という呼称は、具体的な仕事を予想しにくいので、職業欄に記載する際においても、気分的には楽になります。

収入さえあれば、無職と書くのではなく、個人事業主、自営業、自由業、フリーランスなどと、自称することができるのです。

 かくいう私は、週に1~2日顧問として働いていますが、宿帳に記載する際は、個人事業主、自営業、自由業などと気分によって、書きわけています。週に1日でも働いていれば、職業欄に無職以外の記載をすることが可能なのです。