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土門拳の古寺巡礼

恵比寿ガーデンプレイス内にある東京都写真美術館の地下一階展示室で、土門拳の古寺 巡礼が開催されています。(2023年3月18日~5月14日)

ドキュメント、人物、古美術、建築、風景などを対象にした作品を残した写真家 土門拳さんの展示会です。今回は、ライフワークの古寺巡礼の作品が中心となっています。奈良、京都はじめ、全国に足を延ばされ、寺や仏像、仏具に関する写真が多くなっています。

3割位は、私が以前に訪れたか、写真で見たことのある対象でしたが、驚いたのは その表現力です。今回、展示とともに、説明文や15分くらいのドキュメント映像を見て、その表現力が何であるかを知ることができました。

一つは、写真を撮るための照明(ライティング)に非常にこだわっていたことです。通常は、 照明係がいて、その方が担当します。しかし、土門拳自身が照明の角度や、光量、時刻などにこだわっていたのです。自分自身の納得がいくまで、試行錯誤を繰り返して、ベストのショットにこだわっていたのです。

もう一つは、撮影する季節にこだわっていたことです。東北地方のある寺を撮影する際に、 1ヶ月ほど旅館に留まり、雪の降るのを待っていたとか。

仏像にしても、同じものを見たことがあるのに、角度を変えてみると、表情が変わって見えるのです。特に眼については、見る向きによって、説得力が全く異なります。

平等院鳳凰堂鳳凰の写真を撮るために、足場の不自由な屋根へ上がり、撮影した気力というか、気概というか、その執念には驚くばかりです。その1枚の写真の説得力たるや、 言葉で表現するのはほぼ不可能に近く、圧倒的な迫力がありました。

私は、社外顧問の仕事をしていますが、毎回、課題を与えたり、与えられたりしています。問題の解決を図るのが仕事ですので、どのようにすれば良い方向に進むかかということを常に考えているのです。

課題の半分程度は、通常の思考の中で、答えが出てきます。が、残りの半分については、容易に浮かんではきません。こういった場合は、その問題とは別の視点で考える、もしくは取り組んでいかないと、解決には至りません。

今回の展示会に限らず、美術館や博物館に、よく通っています。基本的には、展示物を楽しむのがメインです。しかし、一方では、問題の解決を図る何かのきっかけなり、糸口を探すためという面もあります。

すぐに思いつくこともありますし、なかなか思いつかないこともあります。しかし、こういったことを繰り返すことによって、物事を多面的に考えることができるようになると思っています。

 同じものを見ても、感じ方はひとそれぞれです。多くの気付きや発見が得られるように、常に考えていることが、早期の課題の解決につながると思っています。

土門拳の古寺巡礼

土門拳の古寺巡礼2